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あ行のアーカイブ

BricolaQ「演劇クエスト 横浜トワイライト編」

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  • ◎聖杯なき探索―ひとりでする演劇?
     大泉尚子

    冒険の書

    「冒険の書」の表紙

     ところで、あなたは今、幸福だろうか?
     うん、幸福です。→【九七】
     いいや、不幸だ。→【七四】

     YCC(横浜創造都市センター)そばの路上で、テキストを開きふと目に入った二択の設問に茫然とする。その問いに答えるには多少の時間と心構えが必要だ。念のため貯金通帳の残高も確認しなければならないし。プロポーズを受けた時じゃないけれど、しばらく考えさせていただけますか? 1週間、せめて数日。とてもじゃないけど、終了時間の夕方5時までには答えが出そうにない…。
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    SPAC「グスコーブドリの伝記」

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  • ◎自己犠牲の死は美しいのだろうか?
     今井克佳

    「グスコーブドリの伝記」公演チラシ 静岡に向かう間に、念のためどこかで目を通すかもしれないと、バッグにいれた携帯電子書籍端末には無料で「購入」した原作のテキストをダウンロードした。昔何度か読んだはずの作品だ。すでに著作権フリーになっている宮沢賢治のテキストはネットで手軽に手に入れることができる。

     現在、「国民作家」的人物をあえて一人あげるとすればそれは宮沢賢治であり、誰もが各自のイメージを持っている、と演出の宮城總は言う。しかし、演劇でもしばしばとりあげられる「銀河鉄道の夜」に比較して、それに匹敵する長編童話である「グスコーブドリの伝記」はなぜほとんどとりあげられないのか。その疑問が舞台化の発想の一端となっているようである(SPACウェブサイト公開の宮城のインタビュービデオより)。
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    DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」

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  • ◎目の前の相手に直情的表現することが苦手な表現者「漱石」、複雑な心は坊ちゃん時代から
     大和田龍夫

    「夏目漱石とねこ」公演チラシ 「谷賢一」演出の演劇をいくつ見たか数えてみた。初めて見たのは2010年のサンモールスタジオでの「国道58号戦線異状ナシ」(再演)の演出以来だった。結構見ていることがわかった。Théâtre des Annales『ヌード・マウス』(2012年1月@赤坂レッドシアター)、『モリー・スウィーニー』(2011年6月@シアタートラム)、第11回公演『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』(2012年3月)、第12回公演『完全版・人間失格』(2012年11月)、「俺とあがさと彬と酒と」(2012年12月)、第13回本公演『アクアリウム』(2013年11月)、第14回本公演『音楽劇・河童』、「証明/Proof」(2012年6月)(2014年5月)、Théâtre des Annales vol.2『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン…(中略)…の事実にまつわる物語』(注)(2013年3月)、「最後の精神分析 フロイトvsルイス」(2013年10月)、Théâtre des Annales vol.3「トーキョート・スラム・エンジェズルズ」(2014年11月)。随分と観てきたものだ。
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    ほりぶん「とらわれた夏」

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  • ◎傍若無人なつむじ風―振り切る演劇
     大泉尚子

    ほりぶん公演チラシ 竜巻はその約八割がアメリカで起き、勢力も圧倒的に強いのだそうだ。近年、日本でも竜巻のニュースを時折耳にする。竜巻がなぜ発生するのか、そのメカニズムについてはまだまだ未解明の部分もあるらしい。ところで劇場でも突風に出っくわすことがある。たとえばナカゴー。ほんの些細なきっかけや動機で登場人物たちの感情が突如荒れ狂い、暴走に暴走を重ねる。牛や自転車や家までも空に巻き上げた「オズの魔法使い」の竜巻さながら、ヤダヤダという間もなく観客はその渦に巻き込まれてしまう。

      そのナカゴーを主宰する鎌田順也が墨井鯨子、川上友里(はえぎわ)と、去年の12月に「ほりぶん」というユニットを立ち上げた。初舞台というが、一体何が飛び出すのだろう。
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    連載「もう一度見たい舞台」第9回ねずみの三銃士「鈍獣」

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  • ◎舞台は記憶をつれて
     稲垣貴俊

     はじめて歩く大阪・梅田の街では、その風景は実際よりもはるかに美しく映り、またその喧騒もどこか心地良く聴こえたものでした。
     2004年夏、15歳の私は、実家のある三重県から、初めて舞台を観るためだけに大阪を訪れていました。ある日、テレビ番組で知ったある舞台のために大阪に行きたいといいだした私に、さぞ両親は困ったことでしょう。話し合いの結果、当日は父との短い大阪旅行になりました。もっとも父は、他に行きたいところがあったようですが…。
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    ままごと「港の劇場」

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  • ◎演劇と生活を結ぶ光—小豆島・坂手港の劇場—
     落雅季子

    チラシふたたび小豆島へ

     昨年開催された瀬戸内国際芸術祭の一環であった「醤の郷+坂手港プロジェクト」。ままごとはその参加アーティストとして小豆島の坂手港エリアで滞在制作をおこなった。2010年の岸田國士戯曲賞受賞以後、東京での活動ペースを抑えていたままごとが長期滞在の場所に選んだのがどんなところか知りたくて、私が初めて小豆島を訪れたのが昨夏のことだ。

     それから一年。坂手地区では今年もアーティスト・イン・レジデンスや展示が続けられており、ままごとメンバーも7月から9月にかけて断続的に滞在をしていた。昨年見た小豆島の風景や、そこでパフォーマンスしていた彼らの開放感あふれる表情が忘れがたく、今年9月、私は再び島を訪ねることにした。
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    テアター・ブレーメンで働く

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  • ◎ドイツ演劇はドイツ料理より大分おいしい
     大泉七奈子

     私は、ドイツの公共劇場の現場で舞台美術の勉強をするべく、テアター・ブレーメンという劇場で働いています。
     そもそもドイツに来たきっかけは、文化庁の新進芸術家海外研修制度という奨学金を頂けた事に端を発します。2013年の9月に渡独したので、1年ちょっとになります。ドイツの劇場のシーズンは9月に始まります。2013/14年シーズンをミュンヘンの劇場、カマーシュピーレで過ごし、2014/15年シーズンから、つまりつい最近、ブレーメンにやって来ました。
     それまでは東京で舞台美術家の助手をしたり、その後小劇場中心に自分でデザインをやったりしていました。ワンダーランドで過去に取り上げられた作品のいくつかは、私が美術を手掛けたものです。
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    はえぎわ「ハエのように舞い 牛は笑う」

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  • ◎松花堂弁当のように舞い、プルコギは笑う
     岡野宏文

    「ハエのように舞い」チラシ 魚をすなどる投網のように、三つの注意事項が必ず開幕の前にお客に投げかけられます。

     その一、携帯電話を殺すこと。
     その二、録音録画の禁止。
     その三、飲食の御法度。

     僕にとっての最大の問題は飲食です。許したからといって飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが客席でおっぱじまるとは劇団側もまさか思ってはいないでしょう。せいぜい場違いに煎餅などガリガリとかじり出すやつが発生するくらいが関の山だと思います。しかし、ものを食べながらなにかを見る楽しさは、映画館のポップコーンを考えるとき、一舌瞭然なんであります。なにも名画「無法松の一生」でかの阪妻が枡席でくさやを焼いて鼻つまみになる、そんなひそみにならってご託を並べているわけではありません。僕はごく慎ましく、松花堂弁当を食べながら「ライオンキング」が見たい。ごくごくひたむきに、冷やし狸を食しながら蜷川幸雄だって見たいし、めっぽういたいけに、モスバーガーを頬張りながら野田秀樹を見つつ手がベタベタにさえなりたいと焦がれているわけです。
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    鳥公園「緑子の部屋」

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  • ◎鳥公園「緑子の部屋」から考える
    (鼎談)落雅季子+鈴木励滋+野村政之

    『緑子の部屋』をどう見たか

    —11月にはフェスティバル/トーキョー14でも、鳥公園主宰の西尾佳織さんの作品の上演が予定されています。『緑子の部屋』は3月に大阪と東京で上演されました。今回は東京公演についてお話をうかがいます。とてもざっくりした言い方になりますが、緑子という女性がもう死んで居なくなっている状況で、緑子の兄と、一緒に住んでいた大熊という男性と、友だちだった井尾という女性が三人で集まって緑子のことをいろいろ思い出したり、昔のシーンが挿入されたりするという物語でしたね。それから、最初と最後で、とある「絵」について語る場面がキーポイントになっていました。ではまず、お一人ずつ、今日の話の糸口となるようなところから伺いたいと思います。
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    マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」

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  • ◎食卓は待っているか?
    (座談会)林カヲル+藤倉秀彦+麦野雪+大泉尚子

    「わかりやすさ」をめぐって

    藤倉秀彦:6月に上演されたマームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」。本題に入る前に、この作品の大まかなアウトラインを説明します。舞台は海辺の小さな町で、中心となる登場人物は、長女、長男、次女の三人。ある夏、長女と次女がそれぞれの娘を連れ、長男がひとり暮らす実家を訪れる。集まったひとびとは卓袱台をかこみ、食事をするわけですが、三人きょうだいの思い出の場であるその家は、区画整理によって取り壊されることが決まっているんですね。 続きを読む


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