SPAC「グスコーブドリの伝記」

◎自己犠牲の死は美しいのだろうか?
 今井克佳

「グスコーブドリの伝記」公演チラシ 静岡に向かう間に、念のためどこかで目を通すかもしれないと、バッグにいれた携帯電子書籍端末には無料で「購入」した原作のテキストをダウンロードした。昔何度か読んだはずの作品だ。すでに著作権フリーになっている宮沢賢治のテキストはネットで手軽に手に入れることができる。

 現在、「国民作家」的人物をあえて一人あげるとすればそれは宮沢賢治であり、誰もが各自のイメージを持っている、と演出の宮城總は言う。しかし、演劇でもしばしばとりあげられる「銀河鉄道の夜」に比較して、それに匹敵する長編童話である「グスコーブドリの伝記」はなぜほとんどとりあげられないのか。その疑問が舞台化の発想の一端となっているようである(SPACウェブサイト公開の宮城のインタビュービデオより)。
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横浜ダンスコレクションEX2015

◎踊る肉体に表現の基盤を置いた作品が目立った
 竹重伸一

yokohamadance2 今年横浜ダンスコレクションは記念すべき20年目を迎え、例年のようにコンペティション以外にも様々なプログラムが展開された。その内私はオープニングプログラムである 20th Anniversary Special Performancesと題された横浜ダンスコレクションの歴代受賞者の中から選ばれた2人、山田うんと伊藤郁女の過去の作品の再演、そして9カ国90組の中から選ばれた4カ国10組の振付家が2日間に亘って競ったコンペティションⅠを観た。
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連載企画 観客が発見する 第2回

◎演劇と寄り添い合って生きる
 小泉うめさん

-今回の企画は、劇場に足しげく通っている人たちのインタビューです。

小泉 登場する人たちとはきっと、どこかの劇場でお会いしていると思います(笑)。

-そうですね。観客が何を考えているのか、何を見て、何を楽しんで、何に心を動かされているのか。そういう実情を明らかにしたいと、軽い気持ちでこの企画を始めました。ところがだんだんと…。小泉さんは関西出身とのことですが、どちらですか。

小泉 和歌山県です。高校卒業まで和歌山市内で育ちました。大阪までJRか南海電車で1時間くらいのところです。
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